振り返れば奴がいる

フジテレビのトレンディドラマの脂がノリにノリまくっていた90年代の
名作のひとつである。
数年ごとに12月頃になると再放送することがあるらしい。
 
恋人たちのクリスマス」("All I Want for Christmas Is You")
それはそれはもう有名な曲で、
クリスマスシーズンともなればどこかしらで必ず耳にする。
これがまたこの日本語版タイトルと
明るく弾んだ曲調にはおよそ似合わない、少し切ない歌詞なのだけど。
 
 
このドラマが放映されていた当時私は中学生で、
29歳だなんて気が遠くなるほど先の話だと思っていたし、
その重さもドラマの内容も何もわかっちゃいなかった。
ふうん、って感じで。そりゃそうだろう。
だから何となく観てはいたものの主なキャストが浮かぶぐらいで、
細かいストーリーは正直あんまり覚えていない。
恋愛だけでなく友情、仕事、人生まで絡んだ
少し大人向けなのは知ってる。(というかググった)
「名作である」なんてのたまってしまったが、
ファンの方にはお詫び申し上げます。
 
 
無常にも時は経ち、気がつけばいつの間にか
そのドラマの主人公たちと同じ29歳となっていた私は、
何を隠そうクリスマスシーズンを目前にして
8年間付き合っていた恋人と別れた直後だった。
今となっては多少おもしろおかしく話せるようになったけど、
その時はもう絶望の2文字しかなかった。
(この話は気が向いたら、また今度)
 
 
 
 
この言葉の意味は29歳をどう過ごしていたかによって大きく変わるのだろう。
中学生だった私が大人になり現実を叩きつけられる。
それはそれは大きく振りかぶって。
 
 
その年はなんとまあ、クリスマスが週末にかぶさるという
「恋人達よ思う存分デートしやがれ!!」と言わんばかりの曜日配列だったのだ。
 
あまりにも長い年月を連れ添った彼と別れたばかりで絵に描いたみたいに
ボロボロだった私は、イブに適当な人とお茶を濁す気になど到底なれる訳なく、
(そもそも適当な人とか居るわけなかった)
友人達も当然予定が埋まっているし、
フツーに出社して仕事して下を向いてマッハで帰宅して、
(余計なモノを見たら目の毒、残り少ないライフが削られるだけ)
明石家サンタ見るしかないと思ってた。
 
のだけど、優しい上司達が飲みに誘ってくれて、
(神様かサンタの集団のように見えた)
私のメガ盛りすぎる泣き言を肴に浴びるように飲みまくり、カラオケで思い出の歌を歌い、滝かと思うほどの涙を流し、声も涙も枯らしながら朝を迎えましたとさ。
オチは特にないけど、これはこれで楽しかったしありがたかったな。
いまだにネタにされてるけど。
 
あの年、「この際だから」と半ばヤケクソであのドラマのDVDでもレンタルしてみようとしたら、権利関係やらでリリース自体されてないわ、確か再放送もなかったわで、結局観直していないままだな。
 
 
クリスマス あゝクリスマス クリスマス(5・7・5)
それがどうした、誕生日じゃねえかよ、とは思うけど。けど。
 
 
今年も聞こえてきました、明るく包み込むような声で恐怖新聞スレスレのすごいこと言う、私たちがおそれてやまないあのCMソング。
 
 
“クリスマスが今年もやってくる 悲しかった出来事を消し去るように”
 
 
 
迫りくる3X歳のクリスマス。
 
 
「私、クリスマス。今、あなたの後ろにいるの」